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【ときどき カム・アラウンド】運動部長・正木利和 国境なき五輪が残したもの(産経新聞)

 バンクーバー冬季五輪が終わる。

 とりあえず、この大会を総括したとき、後世に残っていく象徴的なものはなにか、と考えてみた。

 ひとつは「ボーダーレス」というキーワードではないか。国境を越えて活躍するコーチや選手の増加、といいかえてもいい。

 たとえば、日本のフィギュアスケートはニコライ・モロゾフ(34)、タチアナ・タラソワ(63)という2人のロシア人コーチに支えられた。安藤美姫、織田信成や浅田真央といったトップスケーターは、彼らの教え子たちだった。

 日本の指導者が海外の選手を育てた例もある。男子フィギュアの米国代表ジェレミー・アボットのコーチには、元世界チャンピオンの佐藤有香さん(37)が就いた。

 スキーも日本のコーチ陣には海外から招いた指導者がめっきり増えた。ジャンプのカリ・ユリアンティラコーチ(56)、フリースタイルのヤンネ・ラハテラコーチ(35)はフィンランド、アルペンのゲオルク・ホールリグルコーチ(48)はオーストリア、距離のファビオ・ギサフィコーチ(41)はイタリア出身である。

 選手の間でも、ボーダーレスは進んだ。女子フィギュアの16歳、長洲未来は日本と米国と両方の国籍をもつが、競技者としては米国代表の道を選んだ。競技レベルの高い日本を避け、代表となれる可能性の高い方を選択したわけだ。アイスダンスのリード姉弟が生まれ故郷の米国を離れ、日本代表として出場したのも、米国の選手層の厚さが理由だった。

 「ボーダーレス」は、「従来の秩序の崩壊」を意味することもある。ならば、日本選手の「崩れ方」も、特筆すべき事柄として、残しておかねばなるまい。

 もちろん、スノーボード男子ハーフパイプの国母和宏クンのことだ。たしかに、あのドレッドヘアは、かなりボーダーレスだった。入場行進ではレゲエの王様、ボブ・マーリーを生んだ日本のひとつ前の国の選手と一緒に歩きたかったのだろうか、などと勘ぐったりもしてしまう。

 「うっせーな」や「反省してまーす」といった記者会見での発言も、寄ってたかってたたかれた。

 だが、彼以上にひどいと思ったのは、スケルトン女子の小室希サンとリュージュ女子の安田文サン。ふたりの失格の仕方が情けない。小室サンは国際連盟の規格を証明するステッカーをソリからはがし、安田サンは装着できるおもりの超過違反。小室サンの場合、受験票を持たずに試験場に行ったようなものだし、安田サンも持ち込み不可の参考書を試験官に見とがめられ、受験後、失格になったようなもの。服装、態度がなってない、としかられた国母クンよりトホホだ。

 こんな「生徒たち」を引率した五輪の申し子、橋本聖子センセイも、つらかったろう。

 笑い事ではない。

 克己や規律を尊ぶスポーツ界にして、この態(てい)である。日本人の「劣化」は、どこまで進むのやら…。

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